釣洋一先生 旧前川邸歴史コラム 第1回:はじめに
新選組に関する数々の著書で知られる歴史研究家・釣洋一先生に、旧前川邸に関する読み応えある歴史コラムを寄せていただきました。
これから、半月~1ヶ月に1回位のペースで、連載形式でお届けします。
お楽しみに!!
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私が先代・田野十二雄氏に初めて会い、非公開の内部を案内していただいたのは、昭和45(1970)年のことでした。
現在田野製袋所を経営される田野氏は、新選組屯所となった旧前川荘司邸の遺蹟を伝えるために、巨額な自費を投じて、往時の原型を保つことに腐心。今日まで弛まざる努力を続けておられます。そのような田野氏のお姿を拝見するたびに、歴史に携わる者の一人として、ただただ、敬服致すばかりです。
長屋門の左出窓に残る刀傷の柱。現在は取り外されている。
昭和45年当時は長屋門の左柱の処に写真のように刀痕の窓枠がそのまま残されていました。
現在は奥庭の土蔵に秘蔵されています。
その刀痕を擦りながら、子母沢寛の<<新選組始末記>>に出てくる忘れ難いエピソードの名場面が、次々に思い出されたものでした。